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うちは漁村だった。うちの爺ちゃんは怖かった。幼稚園から帰ってきたら、寝込んでいた爺ちゃんは、もう死んでいた。漁師をしていたとのこと。当時幼稚園児の私には爺ちゃんの仕事など興味も無い。自分が遊ぶことだけ。爺ちゃんは几帳面に毎日宝のように刃物を砥ぎ揃えていた。「なた」、「かま」、「のこ」、「きり」。どれも長年使い込み小さくなっていた。漁具を作るため大切だった。漁具は皆手製だったから。
何回も爺ちゃんに怒られた。「まぁた使うとる」と怒鳴る。
爺ちゃんの刃物は、幼稚園児の私にとっても宝だった。スパスパ切れる。私の遊び道具を作るのにどうしても必要だった。
父ちゃんは漁師のくせして大工もやってきた。65で酒を飲んでバイクで転んで利き腕をなくし片腕になった。それでも作り続けている。今も注文を受けて働いている83歳の職人だ。左利きだったので、道具は左利き用だ。その左手は無い。片腕になったとき「小船を操船できない」と、好きな漁をあきらめていた。この頃、魚を捕りたくて、「カヌーの型で小さな漁船ができないか」という。
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